平泉の文化財
史跡・名勝
浄土の風が吹く
日本の歴史にかかわる大きな出来事があった場所、生活の姿を知るうえで重要な場所は「史跡」、さらに史跡の中でも特に重要な場所は「特別史跡」として保護されます。また、景勝地として重要な場所は「名勝」、「特別名勝」とされます。平泉町には特別史跡、史跡が6つあり、さらに毛越寺庭園は特別名勝、旧観自在王院庭園とおくのほそ道の風景地(金鶏山・高館・さくら山)は名勝の指定を受けています。
毛越寺境内附鎮守社跡 ◎特別史跡
毛越寺庭園 ◎特別名勝
旧観自在王院庭園 ○名勝
毛越寺境内(左)と観自在王院跡(右)、発掘調査の成果に基づき、庭園の修復・再生がおこなわれています。
無量光院跡 ◎特別史跡
平泉で発展した浄土庭園の完成形と考えられています。背後の山並みと一体になって浄土の世界を表しています。
中尊寺境内 ◎特別史跡
広大な境内地の地下には、12世紀の寺院の遺跡が良好な状態で保存されています。
柳之御所・平泉遺跡群 ○史跡
奥州藤原氏の政庁「平泉館」の跡と考えられています。12世紀平泉の政治・行政拠点の遺跡として、世界遺産「平泉」の拡張資産として暫定リストに登載されています。
金鶏山 ○史跡・名勝
平泉のランドマークであり、まちづくりの基準になりました。山頂に「経塚」が造営された信仰の山でもあり、無量光院などの寺院と密接な関係を有しています。
達谷窟 ○史跡
寺伝によれば1200年前にひらかれた平泉最古の寺院です。境内の岩面大仏は12世紀造像と考えられ、同時代の池跡も確認されています。世界遺産「平泉」の拡張資産として暫定リストに登載されています。
浄土をあらわす庭園 ~浄土庭園~
奥州藤原氏全盛の平泉では、たくさんの寺社が建立されました。特に寺院では仏の世界である「仏国土(浄土)」を表現した仏堂や、浄土の主体である苑池を中心にした庭園が造営されました。このような寺院庭園は一般に「浄土庭園」とよばれています。とりわけ、毛越寺庭園は、造営当初の姿を完全な形で残しており、我が国で独自の発展をとげた浄土庭園の姿を知る上で極めて重要です。また、平泉で発展した造園の理念や技術は、日本の作庭文化がアジアにおける文化交流の末に独特の発展を遂げたとして、世界遺産登録に際して高い評価が得られました。
毛越寺庭園 ◎特別史跡・特別名勝
毛越寺庭園とともに、観自在王院跡・無量光院跡・中尊寺大池伽藍跡が、仏国土(浄土)を表す庭園として、世界遺産としての顕著な普遍的価値が認められました。
無量光院跡 ◎特別史跡
無量光院跡での説明会
遺跡の修復・再生の計画が具体化し、発掘調査と池の再生事業が進められています。
中尊寺大池伽藍跡 ◎特別史跡
中尊寺大池伽藍跡
庭園の中心となる遺跡の確認調査が進められており、発掘調査の成果に基づいた整備を計画しています。
資産の価値を共有する
平泉は江戸時代までに中尊寺金色堂以外の建造物をすべて失っており、地下に残された建物跡や池跡など考古学的遺跡から当時の姿をおしはかるほかありません。学術的な調査成果に基づいた復元図や模型は、平泉の資産価値を理解し共有する上で役立ちます。
毛越寺・観自在王院の復原模型(岩手県立博物館所蔵)
無量光院の復元CG