○平泉町環境保全条例

平成26年12月19日

条例第12号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 自然環境の保全(第7条―第18条)

第3章 生活環境の保全(第19条―第29条)

第4章 環境の保全の推進(第30条―第32条)

第5章 雑則(第33条―第36条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、平泉町環境基本条例(平成25年平泉町条例第2号。以下「環境基本条例」という。)第3条に定める基本理念にのっとり、平泉町における自然環境及び歴史的環境とが調和した個性豊かな生活環境を確保するため、環境への負荷の低減を図るための措置その他必要な事項を定めることにより、現在及び将来の町民の健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境の確保を目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 良好な環境 町民が健康な心身を保持し、安全で快適な生活を営むことができる自然環境、生活環境及び文化環境をいう。

(2) 自然環境 土地、水、大気及び動植物等を一体として総合的にとらえた生態系をいう。

(3) 生活環境 人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む人の生活に関する環境をいう。

(4) 公害 環境基本条例第2条第3号に規定する公害をいう。

(町民の責務)

第3条 町民は、良好な環境の確保に関する意識を高め、地域の良好な環境の確保に寄与しなければならない。

2 町民は、その日常生活において、良好な環境を侵害しないよう自ら努めなければならない。

3 町民は、良好な環境の侵害の状況について情報提供を行う等、町が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、その事業活動によって良好な環境を侵害しないようその責任と負担により必要な措置を講じるとともに、自ら積極的に環境負荷の低減を図らなければならない。

2 事業者は、町が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

(観光旅行者その他の滞在者の責務)

第5条 観光旅行者その他の滞在者は、良好な環境を侵害しないよう自ら努めるとともに、町が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

(町の責務)

第6条 町は、町民の健康で文化的な生活を確保するため、良好な環境の確保に関する施策を策定し、これを実施しなければならない。

2 町は、前項の施策を策定するに当たっては、総合的な行政の運営を図るとともに、土地の開発整備に関する計画、土地利用に関する計画、公的な施設の整備計画、産業に関する計画等の策定及びこれらの計画に基づく事業については、総合的な検討及び調整を行わなければならない。

第2章 自然環境の保全

(保全計画の策定)

第7条 町は、町民が優れた自然環境の恩恵を享受するとともに、良好な自然環境を将来の町民に継承するための基本となる計画(以下「自然環境保全計画」という。)を策定するものとする。

2 自然環境保全計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 自然環境の保全及び増進(以下「自然環境の保全等」という。)に関する施策の目標及び基本方針

(2) 土地の利用、開発等の計画の策定及び実施に当たって配慮すべき自然環境の保全等のために必要な措置に関する事項

(3) 自然環境の保全等を図るための監視、指導体制の整備に関する事項

(4) 前各号に掲げるもののほか、自然環境の保全等を図るため必要な施策に関する事項

3 町は、自然環境保全計画を策定しようとするときは、あらかじめ平泉町環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

4 町は、自然環境保全計画を策定したときは、当該計画を町民に公表しなければならない。

5 町は、自然環境保全計画の策定に際し、必要な科学的かつ総合的な調査及び研究に努めなければならない。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第8条 町は、自然環境の保全の施策の実施に当たっては、土地の所有者及び利害関係人(以下「土地の所有者等」という。)の正当な財産権を尊重するとともに、他の公益との適正な調整を図らなければならない。

(土地所有者等の義務)

第9条 土地の所有者等は、自ら良好な環境の確保に努めるとともに、町が行う良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

(保全地区の指定等)

第10条 町は、次の各号のいずれかに該当するもののうち、自然環境の保全を図るため特に必要があると認める地区を自然環境保全地区(以下「保全地区」という。)として指定することができる。

(1) 森林、草生地、丘陵地、池沼、河川等が所在する地域のうち、良好な自然状態を維持している地域であってその保全を図ることが必要な地区

(2) 動物の生息地又は植物の生育地であって、これらの保護又は繁殖を図ることが必要な地区

2 町は、保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。

3 町は、保全地区を指定しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を告示し、その案を当該告示の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

4 前項の規定による告示があったときは、当該地区に係る住民及び土地の所有者等は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について町に意見書を提出することができる。

5 町は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき又は当該保全地区の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。

6 町は、保全地区を指定するときは、規則で定めるところにより、その旨及びその区域を告示しなければならない。

7 保全地区の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。

8 第2項から前項までの規定は、保全地区の指定の解除及び区域の変更について準用する。

(配慮)

第11条 町は、保全地区の指定に当たっては、当該地区に係る住民の生業の安定に著しい支障を来すことのないよう配慮しなければならない。

(行為の届出等)

第12条 保全地区内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ町長にその内容を届け出なければならない。

(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。

(5) 木竹を伐採し、又は移植すること。

(6) 前各号に掲げるもののほか、保全地区における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で規則で定めるもの

(助言、指導及び勧告等)

第13条 町は、前条の規定による届出があった場合において、その保全地区における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対して、その届出のあった日から起算して30日以内に限り、自然環境の保全のために必要な助言又は指導をすることができる。

2 前条の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して30日を経過した後でなければ、その届出に係る行為に着手してはならない。

3 町は、前条の規定による届出をしなかった者又は第1項の規定による助言若しくは指導に従わない者に対し、自然環境の保全のため必要な限度において、当該行為の中止、計画の変更、原状の回復等必要な措置をとるべきことを勧告又は命令することができる。

(届出の適用除外)

第14条 次の各号に掲げる行為については、第12条の規定は、適用しないものとする。

(1) 保全地区に関する保全事業の執行として行う行為

(2) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(3) 法令に基づいて国及び地方公共団体その他規則で定める者(以下「国等」という。)が行う行為のうち、保全地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(4) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、保全地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(5) 保全地区が指定され、又はその区域が拡張された際当該保全地区内において、現に着手している行為

(公害防止協定の締結)

第15条 町長は、第12条の行為をしようとする者と必要に応じ公害防止協定を締結しなければならない。

(国等に関する特例)

第16条 国等は、第12条の規定による届出を要する行為を行うときは、その届出に代えて、あらかじめ町にその旨を通知しなければならない。

2 町は、前項の通知について自然環境の保全のため必要があると認めるときは、当該国等と協議することができる。

(標識の設置)

第17条 町は、保全地区を指定したときは、その地区内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

2 何人も、前項の規定により設置された標識を、町の承諾を得ないで移転し、除去し、汚損し、又は損壊してはならない。

(指導等)

第18条 町は、自然環境の保全のため、必要な指導及び助言を行うことができる。

第3章 生活環境の保全

(監視及び測定体制の整備等)

第19条 町は、公害の状況を把握し、必要な監視及び測定の体制の整備に努めなければならない。

2 町は、公害の発生源、発生原因、発生状況、廃棄物の処理状況その他公害に関する事項について、常に適切な科学的判断のもと、調査し、監視しなければならない。

(公害の状況及び違反者の公表)

第20条 町は、公害に関する監視及び調査の結果、明らかになった公害の状況を公表しなければならない。

2 町は、公害関係法令、県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例(平成13年岩手県条例第71号)又はこの条例に違反して著しく公害を発生させている者があるときは、必要に応じ、その者を明らかにしなければならない。

(苦情等の処理)

第21条 町は、公害に関する苦情又は紛争が生じたときは、迅速かつ適正な解決を図るよう努めなければならない。

(健康影響調査等)

第22条 町は、必要に応じ関係機関と協力して、公害が町民の健康に及ぼす影響を調査しなければならない。

2 町は、必要に応じ公害に係る健康被害に対する救済に努めなければならない。

(広域公害の相互協力)

第23条 町は、広域公害防止のために必要があるときは、国その他関係地方公共団体に協力を要請するとともに、国その他関係地方公共団体から広域公害の防止のための協力要請があったときは、これに応じなければならない。

(騒音の防止等)

第24条 何人も、近隣の迷惑となる騒音を発生させないよう努めなければならない。

2 何人も、付近の静穏を害するおそれのある施設を設置し、又は行為をするときは、付近に最も影響の少ない方法で行うよう努めなければならない。

(土地等の管理義務)

第25条 土地等の所有者又は占有者は、その管理する土地等に雑草等が繁茂し、又は廃棄物の不法投棄等により、次の各号に掲げる状態が発生することのないよう適正に管理しなければならない。

(1) 人の健康を害し、又は害するおそれがあること。

(2) 犯罪又は災害の発生を誘発するおそれがあること。

(3) 周囲の美観を著しく害すること。

(4) その他安全で快適な生活環境を著しく阻害するおそれがあること。

(生活排水の浄化)

第26条 町民及び事業者は、下水道法その他の法律の規定に基づき、生活排水の処理に係る措置をとるべきこととされている場合を除き、河川その他公共水域へ生活排水を放流するときは、その水域が汚染されないよう必要な措置を講じなければならない。

(地下水の水源の保全)

第27条 何人も、地下水の採取その他地下水の水源に影響を及ぼす行為をするときは、当該水源の保全に十分配慮しなければならない。

2 前項の地下水の採取等により井戸水の枯渇、地盤の沈下等が生じたときは、当該行為者は、直ちに適切な措置を講じなければならない。

(屋外燃焼行為の禁止)

第28条 何人も、法に基づくもの以外についても、近隣に迷惑をかけるような、ばい煙、有毒ガス又は悪臭を発生するおそれのあるものを、屋外において燃焼させてはならない。

(違反者に対する勧告等)

第29条 町は、第24条から第28条までの規定のいずれかに違反して、人の健康又は生活環境を著しく害し、又は害するおそれがあると認めるときは、その違反者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告又は命令することができる。

第4章 環境の保全の推進

(再生可能エネルギー活用の推進)

第30条 町は、太陽光、太陽熱、風力、地熱等(以下「再生可能エネルギー」という。)の有効活用を推進するため、必要な施策を行うものとする。

(省エネルギーの促進)

第31条 町は、エネルギーを有効に利用するために自ら省エネルギーに配慮した公共施設の建設や機器、設備の導入を進めるとともに、省エネルギー行動に関する情報の提供を行うものとする。

(町民及び事業者の協力)

第32条 町民及び事業者は、町その他の行政機関が行う再生可能エネルギー及び省エネルギーについての政策に協力しなければならない。

第5章 雑則

(立入検査、立入調査等)

第33条 町は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、工場、事業場、建設工事現場、保全地区内の土地その他の場所に立ち入り、帳簿書類、機械、設備、建築物、建物の敷地その他の物件及び土地並びにその場所で行われている行為の状況を検査し、若しくは調査し、又は関係者に対し必要な指示又は指導を行わせることができる。

2 前項の規定により立入検査等を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(報告の徴収)

第34条 町は、この条例の施行に必要な限度において、良好な環境を害し、若しくは害するおそれのある者、保全地区内の土地若しくは物件の所有者又はこれらの者の関係者に対して、必要な事項を報告させることができる。

(予想外の公害に関する措置)

第35条 町は、法令及びこの条例の予想しない物質、作業等により発生した公害が人の健康又は生活環境に著しい影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある場合において、特別の措置を講ずる必要があると認めるときは、その事態を発生させた者に対し、直ちにその事態を除去するため必要な措置を講ずるよう勧告するとともに、関係機関に要請して、その影響の拡大を最小限にとどめるよう必要な措置を講ずるものとする。

(補則)

第36条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。

2 平泉町民の環境をまもる条例(昭和53年平泉町条例第22号)は、廃止する。

平泉町環境保全条例

平成26年12月19日 条例第12号

(平成27年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成26年12月19日 条例第12号