○平泉町環境基本条例
平成25年3月25日
条例第2号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の基本方針等(第8条―第10条)
第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第11条―第28条)
第4章 環境審議会(第29条―第34条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、輝く水と緑に包まれた豊かな自然環境や世界遺産をはじめ歴史文化遺産と調和した貴重な歴史的環境を誇るまちとして、公害その他健康や生活環境に係る被害を防止し、環境を良好な状態に保ち、また、積極的に新たな自然や快適空間を創出し、豊かな環境を確保していくこと(以下「環境の保全及び創造」という。)のために、基本理念を定め、町民、事業者及び観光旅行者その他の滞在者(以下「町民等」という。)並びに町の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策(以下「環境施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、環境施策を推進し、現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、町内に仏教寺院や浄土庭園などの遺跡群が多く残されていることから、自然や歴史と調和した歴史的環境を保全し、創造することを目的として行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、町民が健康で文化的な生活を営むことができる健全で恵み豊かな環境を確保し、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、一人ひとりが環境の有限性を深く認識し、すべての者の参加と協働によって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会(以下「持続可能な社会」という。)の構築を目的として行われなければならない。
4 環境の保全及び創造は、町及び町民等がそれぞれの責務を自覚し、適切な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。
5 地球環境保全は、人類共通の課題であり、町及び町民等が自らの問題として認識し、それぞれの事業活動及び日常生活において自主的かつ積極的に行われなければならない。
(町民の責務)
第4条 町民は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、その日常生活に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じなければならない。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境施策に協力しなければならない。
(観光旅行者その他の滞在者の責務)
第6条 観光旅行者その他の滞在者は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する自然環境及び歴史的環境の保全のための施策に協力しなければならない。
(町の責務)
第7条 町は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の基本方針等
(施策の基本方針)
第8条 町は、環境施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本方針として、各種の施策相互の連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 町民の健康を保護し、及び生活環境を保全し、並びに自然環境を適正に保全するよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。
(2) 野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保に努めるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境を地域の自然的社会的条件に配慮して適正に保全すること。
(3) 優れた自然環境及び歴史的、社会的な環境その他快適な環境を保全するとともに、人と自然との豊かな触れ合いを確保すること。
(4) 廃棄物の減量、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用等を推進することにより、持続可能な社会を構築すること。
(環境基本計画)
第9条 町長は、環境施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平泉町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する目標
(2) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の方向
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、事業者及び町民の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるとともに、平泉町環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境施策の状況等の公表)
第10条 町は、環境施策の総合的かつ計画的な推進に資するため、町が講じた環境施策の実施状況等を定期的に公表するものとする。
第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
(施策の策定に当たっての配慮等)
第11条 町は、環境に影響を及ぼすと思われる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全及び創造について配慮するとともに、環境基本計画との整合を図らなければならない。
(世界遺産等への措置)
第12条 町は、環境施策の推進に当たっては、自然や歴史と調和した平泉固有の特性を尊重し、世界遺産及びその周辺の環境の保全及び創造について必要な措置を講ずるものとする。
(環境影響評価の措置)
第13条 町は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(規制の措置)
第14条 町は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 町は、自然環境及び生活環境の保全を図るため、自然環境及び生活環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し必要な規制の措置を講ずるものとする。
3 平泉の自然と歴史が調和した文化的景観の保全を図るため、文化的景観の保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し必要な規制の措置を講ずるものとする。
4 前3項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。
(誘導的措置)
第15条 町は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動を行う者がその活動に係る環境への負荷の低減を図るための施設の整備その他の適切な措置をとるように誘導し、環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講ずるものとする。
(公共的施設の整備等)
第16条 町は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(自然環境及び歴史的環境の保全)
第17条 町は、生物の多様性の確保が図られるとともに、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画を定めるよう努め、多様な自然環境が保全されるよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、顕著な普遍的価値を有する歴史文化遺産などと一体となった固有の歴史的環境を保全し、自然と歴史が調和した文化的景観を形成するため、必要な措置を講ずるものとする。
(廃棄物の減量の推進等)
第18条 町は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の減量、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用等が推進されるように必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理、物品等の調達その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(不法投棄等の防止)
第19条 町は、空き缶、廃家電その他の廃棄物の不法投棄やポイ捨て防止のため必要な措置を講ずるものとする。
(放射性物質による環境汚染等への対応)
第20条 町は、放射性物質による環境汚染等、環境への負荷に重大かつ深刻な不測の事態が生じた場合においては、国、他の地方公共団体及びその他の関係機関と協力し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境教育等による環境保全の取組)
第21条 町は、自然的社会的条件に応じた環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する行動計画を作成するよう努めるものとする。
2 町は、町民等に、あらゆる機会を通じて環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における環境教育の推進に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(町民等との協働等)
第22条 町は、環境の保全及び創造に関し、町民等並びに事業者及び町民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)と協働して取り組むため、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、環境の保全及び創造に関し、担い手育成を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(自発的活動の促進)
第23条 町は、民間団体等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。
(情報の収集及び提供)
第24条 町は、環境基準の達成状況や自然環境の状況など環境の状況に関する情報等の収集に努めるとともに、環境の保全及び創造に資するために必要な情報を適切に提供するものとする。
(調査の実施)
第25条 町は、環境に影響を及ぼすと思われる施策を策定するにあたっては、必要な調査を実施するものとする。
(監視等の体制の整備)
第26条 町は、環境の状況を把握し、及び環境施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、測定等の体制の整備に努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第27条 町は、広域的な取組を必要とする環境施策については、国及び他の地方公共団体と協力し、その推進に努めるものとする。
(地球環境保全に関する国際協力)
第28条 町は、国、他の地方公共団体、民間団体等その他の関係機関と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第4章 環境審議会
(環境審議会)
第29条 環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査審議するため、平泉町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織)
第30条 審議会は、委員10人以内をもって組織し、委員は、次に掲げる者のうちから町長が任命する。
(1) 知識経験を有する者
(2) 各種団体に属している者
(3) 関係行政機関の職員
(4) その他町長が必要と認める者
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第31条 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選とする。
2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第32条 審議会は、町長が招集する。
2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第33条 審議会の庶務は、町民福祉課において処理する。
(委任)
第34条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
附則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。