町長施政方針演述


平成22年度

町長施政方針演述

平泉町長 高橋一男
平泉町長 高橋一男  

1 はじめに

   平成22年第1回平泉町議会定例会の開催にあたりまして、平成22年度の町政運営の基本方針及び主要な施策について、所信の一端を申し上げます。

   日本経済においては、一昨年の世界的金融危機以降、景気動向は一段と深刻さを増し、企業の業績悪化による雇用環境の悪化や消費者物価の下落などのデフレ兆候も顕著になっており、一方では地方と都市との格差の問題や人口減少、さらには少子高齢化の進行など、国全体を取り巻く環境は、より一層厳しい情勢にあると認識しております。
   また、昨年9月に誕生した新政権においては、最重要施策として掲げた「地域主権」の実現に向けた取り組みが今年から本格化し、夏にはその基本指針となる「地域主権戦略大綱」(仮称)の策定が予定されています。「地域主権」の確立により今後、国と地方の関係が抜本的に見直され、新しい国のかたちが創られるものと期待をしております。

   このような中、基礎自治体としての市町村の果たす役割は、ますます大きくなってきていることから、強い自治体を目指すべく、本町においては、今後、定住化対策に向けて、産業振興対策や雇用対策、さらには住環境の整備など総合的な政策による人口増加策の実現を目指して参ります。また、限られた財源でできるだけ質の高い行政効果を上げるための簡素で効率的な行政システムの確立と、自主財源確保に向けた積極的な取り組みを進め、自治体としての体力強化を図りながら行財政運営を推進していくことが重要であると認識しております。

   平成22年度は、平泉町総合計画の最終年次となりますが、「やすらぎと文化をおりなす千年のまちづくり」を本町の将来像に位置づけ、平成13年度からその実現に向けて様々な施策を推進してきたところであります。この10年間の検証を踏まえ、さらには地方自治体を取り巻く大きな変革の時代を見据えながら、未来に向けて明確なビジョンを持ち、町民が希望と誇りと勇気を持つことができるまちづくりを目指し、次期総合計画の策定に向けて取り組んで参ります。

   平成22年度の予算編成につきましては、財政健全化路線を継続する中、大型事業である中学校校舎の改築を実施することから、対前年比増の積極型予算となり一般会計で4.7%増の38億円となりました。
   歳入面では、「地域主権」改革を掲げる新政権発足により普通交付税等の増額が見込まれますが、中学校校舎改築後に続くプール建設などに備え財政調整基金の取崩しは行わず、その他の主要基金を一部取り崩して必要な財源を確保したところであります。
   歳出面では、継続及び新規の町道整備事業をはじめ、昨年に引き続く緊急雇用対策や新規の町総合計画の策定など普通建設事業費及び物件費が増額となる一方、公債費及び補助費が減額となったところであります。依然として厳しい財政状況ではありますが、今後も集中改革プランに基づき行財政改革を推進しながら財政健全化に向けて取り組んで参ります。

   刻々と変わる社会情勢に柔軟に対応しながら、限られた予算ではありますが、「平泉町総合計画・後期基本計画」に基づき、事業の重点化を図って予算編成に配意したところであります。
   以下、平成22年度の重点施策及び主要施策について申し述べます。


2 重点施策

   はじめに、平成22年度の施策の柱である6項目について申し述べます。


2−1 世界遺産登録の推進

   第1は、世界遺産登録の推進であります。
   「平泉の文化遺産」の世界遺産登録再チャレンジにつきましては、平成23年第35回世界遺産委員会での審議に向けて、本年1月にパリのユネスコ世界遺産センターへ推薦書が提出されたところであります。
   本年夏頃に予定されているイコモスの現地調査においては、「平泉」の価値が正しく理解されるよう資産及び周辺環境の整備について、国、県等の関係機関と連携を一層図るとともに、町民が一体となった取り組みを推進し、最大限の努力を傾注して参ります。また、平泉の文化遺産が地域住民に支えられ、より良い形で継承されることを目指して、歴史、文化、まちづくりに関わる啓発活動を積極的に進めて参ります。


2−2 国際観光に向けた対応

   第2は、国際観光に向けた対応であります。
   観光は、極めて裾野の広い産業であり、大きな経済効果をもたらすものとして、国でも21世紀のリーディング産業として位置づけ、平成20年10月には観光庁を発足し、ビジット・ジャパン事業など各種事業を展開しているところであります。しかしながら、昨年は世界的な景気の低迷や円高、新型インフルエンザの流行などにより、訪日外国人が減少し、本町においても、同様に対前年比で3割以上も外国人観光客が減少したところであります。観光は経済や雇用、地域の活性化に大きな影響を及ぼす産業として、今後さらに推進していく必要があると強く認識しているところであります。特にも世界遺産登録が実現した際には、国内外から多くの観光客が訪れることが予想されるとともに、中国人の個人観光客へのビザ発給緩和により、今後、中国をはじめとした東アジアからの観光客が飛躍的に増加することも予想されます。こうした情勢に即応していくために、案内表示等の多言語化や外国人観光客に対する「おもてなしの心」の醸成、さらには広域連携による対応など、国際観光に向けた受入態勢の整備を今後とも推進して参ります。
   また、世界遺産にふさわしいまちづくりにおいて、異文化への理解を深めていくことも必要であると認識していることから、国際的に平泉文化とゆかりの深い地域との友好関係に向けて、民間レベルでの友好交流活動の支援などを図りながら、国際観光都市としての取り組みを進めて参ります。


2−3 産業振興への対応

   第3は、産業振興への対応であります。
   本町の基幹産業であります農業につきましては、現在、国が進めております農政の大転換による様々な政策などにより、本町の農業政策においても今後大きく影響していくものと考えております。さらには、昨今の長引く景気低迷を背景に消費意欲の減退に伴う農畜産物価格の低下等により、非常に厳しい農業経営を迫られているところであります。そこで、生産から加工、流通、販売まで一体的に捉え、地場農産物に新たな価値を創出する第6次産業化の推進による本町の特性を生かした観光と農業とを結びつけた諸施策への取り組みなど、農業者の視点に立ったきめ細やかな農業振興施策を推進し、さらには農地の利活用など総合的な調整を図りながら、本町の農業再生に向けた積極的な取り組みを推進して参ります。
   また、観光及び商工業の振興におきましては、世界遺産登録に向けた活動とあわせ、国のビジット・ジャパン事業の展開など国内外旅行エージェントへの積極的な宣伝・PRによる誘客活動を行うとともに、地元商店街の活性化に向けて、平泉商工会及び(社)平泉観光協会との綿密な連携を図りながら、特産品などの販売促進や空き店舗の有効活用、さらには案内表示等の整備などを進め、滞在型観光地としての確立を目指して取り組んで参ります。


2−4 保健・福祉・教育の充実

   第4は、保健・福祉・教育の充実であります。
   地域の中で生きがいを持ち、健康で文化的な生活を営むためには、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現は欠かすことのできない要素であります。その実現に向けて、各ライフステージにおける支援策を段階的かつ総合的に推進して参ります。特にも子育て支援につきましては、社会全体で支えるシステムの構築が求められていることから、子ども手当などの国の制度の活用と併せ、出産から子育て時期までの支援を進めて参ります。
   また、町民が健やかな生活を送ることができるよう、各種健診や健康教室等による健康づくりに取り組むとともに、高齢者福祉においては、介護予防事業の充実や日常生活への支援を実施して参ります。
   平泉幼稚園及び平泉保育所については、施設が併設していることから、施設の相互活用による幼児の交流を進めるなど、幼保連携を図りながら就学前教育・保育の充実を図って参ります。


2−5 町民参画と協働の促進

   第5は、町民参画と協働の促進であります。
   各行政区が主体的に取り組む地域課題対応事業については、平成22年度で5年目を迎えることから、事業の検証を図り、さらには今後に向けての改善方法などについて検討して参ります。また、行政区等が独自の企画で発案した事業を行う行政区総合補助金事業についても、効果的な検証などを行いながら、町民の公の部分への参画を促し、一層の地域力の向上と行政コストの軽減を図って参ります。
   また、平成19年度から実施しております地域懇談会についても、町民との対話行政によるまちづくりに向けて、より多くの町民の方が参加できるよう開催方法などを検討しながら今後も進めて参ります。


2−6 行財政改革の推進

   第6は、行財政改革の推進であります。
   景気の低迷など厳しい社会経済情勢の中、平成22年度が最終年度である行政改革大綱及び集中改革プランについて、目標達成に向けて取り組みを積極的に推進していくとともに、次期計画策定に向けた検証及び検討を行って参ります。
   また、今後も「町の自立」を実効あるものにしていくために、財政状況等の検証を踏まえながら、行財政基盤の強化に向けて、事務事業評価による個別事業の見直しや定員適正化計画に基づいた職員数の削減などの取り組み、さらにはふるさと納税制度の活用などによる歳入確保対策を実施し、健全な財政運営を目指して参ります。


3 主要施策

   次に、平成22年度の主要な施策について、平泉町総合計画の施策の大綱に沿って申し述べます。


3−1 美しい自然のまち

   第1に「美しい自然のまち」(「自然環境・景観保全」)について申し上げます。

◎自然環境・景観の保全

   豊かな自然と美しい景観を守り、次世代へ継承していくために、町民が一緒になって道路、河川等における一斉清掃等の活動ができるよう、統一日を設定し環境整備を行って参ります。


3−2 健やかな福祉のまち

   第2に「健やかな福祉のまち」(「保健・医療・福祉」)について申し上げます。

◎健康づくりの推進

   健やかな生活を営むことは町民誰もが願うものであり、地域活力の源であります。この実現に向け、「健康ひらいずみ21」プランに基づいた各種健診や健康教室、相談事業を通し健康の保持増進が図られるよう、事業の充実に努めて参ります。特にも女性特有のがん検診の推進、新型インフルエンザ等の感染症対策、うつ病をはじめとするこころの病気や自殺対策において関係機関と連携しながら対策を講じて参ります。

◎地域福祉の充実

   災害時要援護者支援の取り組みにつきましては、平泉町地域防災計画での位置づけを明確にしながら、福祉関係機関と防災関係機関の連携を図り、引き続き要援護者の個別支援プランの登録を推進して参ります。
   また高齢化が著しい地域では、一人暮らし高齢者などの見守りが一層重要となっていることから、民生委員をはじめとする地域での見守りやつながりを支援するなど、小地域福祉活動を促進して参ります。

◎高齢者福祉の充実

   高齢者福祉につきましては、高齢者ができる限り介護状態に陥ることなく、健康で生き生きとした生活が送れるよう介護予防事業を継続的に実施し、健康レベルの向上を図るとともに、介護ボランティアの養成を行い、高齢者を地域で支援する体制づくりを図って参ります。
   また、在宅で介護している家族の負担軽減を図るため、家族介護手当の支給、タクシー料金の助成、緊急通報システム機器貸与等の事業についても引き続き実施して参ります。

◎子育て支援・児童福祉の充実

   次世代育成支援行動計画の後期計画に基づき、地域における子育て支援の充実を図るため、保育所及び子育て支援センターの機能充実と併せ、関係機関との連携を図りながら、子育て支援サービスのネットワークづくりに努めて参ります。
   また、健やかな出産が迎えられるための妊婦健診の公費負担の継続や、子どもの医療費等の負担軽減策として、乳幼児医療費助成事業の対象の拡大や乳幼児から中学生までのインフルエンザ予防接種に係る費用の助成、さらには多子世帯への経済支援として第3子以降の保育料及び幼稚園使用料の無料化を実施するなど、出産から子育て時期までの支援を強化して参ります。
   継続して取り組んでおります幼保一体化につきましては、幼児期の教育・保育サービスの充実と、一体化施設としての効率的な運営と機能の充実に努めて参ります。

◎障がい者福祉の充実

   障がい者福祉につきましては、障がいのある方が自らの力で自分らしく暮らしていけるよう、保健・医療・福祉サービスの提供と併せ、住まいや就労の場の確保を含めた相談体制の充実を図るとともに、障がい者の人権や財産を守る成年後見制度の利用促進に努めて参ります。
   また、関係機関やサービス事業所と連携し、個々の障がい特性を踏まえたサービスの提供を行なうとともに、介護者や家族の負担を軽減するため、日中一時支援事業や移動支援事業を引き続き行って参ります。


3−3 学び楽しむ文化のまち

   第3に「学び楽しむ文化のまち」(「教育・スポーツ・文化振興」)について申し上げます。

◎教育施設の充実

   平泉中学校校舎につきましては、平成22年度、23年度の2か年度で改築し、快適な学校環境の整備に向けて取り組んで参ります。また、平泉町公民館及び平泉体育館の改修についても、耐震診断の結果を踏まえながら、早急に対策を講じて参りたいと考えております。

◎男女共同参画の推進

   男女共同参画社会の推進につきましては、町民を対象とした男女共同参画に関する意識と生活実態等の調査結果を踏まえながら、男女共同参画社会基本法などに基づき、平成22年度において平泉町男女共同参画プランの見直しを行って参ります。また、男女共同参画社会の実現に向けて、リーダー育成研修会や講演会などの事業を関係団体と連携を図りながら引き続き実施して参ります。

◎国際交流・国内交流への支援

   国際交流につきましては、国際観光に対応したまちづくりに向けて、異文化への理解などを深めていく必要性があると認識しております。そこで、以前から交流がある中国天台県との交流を、さらに推進していくとともに、マルコポーロ生誕の地と伝えられているクロアチアなど平泉文化とゆかりの深い地域との友好関係を進めていくためにも、平泉国際交流協会や関係機関との連携、さらには民間レベルでの友好的な交流が進められるよう支援を図りながら、世界遺産にふさわしい町を目指して参ります。
   また、国内交流につきましては、昨年12月に江東区と友好交流促進の確認書を取り交わしたことから、相互の理解と信頼を一層深めて持続的に交流を進めて参ります。


3−4 快適な生活環境のまち

   第4に「快適な生活環境のまち」(「生活環境の保全整備」)について申し上げます。

◎景観対策

   平泉の文化遺産にふさわしい自然、農村、街並み、屋外広告物、公共施設などの文化的景観を構成する資産全体の調和に向けて、従前に策定した景観計画及び景観条例と併せ、本年4月から施行する屋外広告物法に基づいた「屋外広告物条例」により、美しい景観のまちの実現に向けて官民一体となり取り組んで参ります。

◎住宅対策

   個人住宅につきましては、木造住宅耐震診断士派遣事業及び耐震改修事業を町内建築士と連携し引き続き取り組んで参ります。
   また、町営住宅につきましては、町内7地区の住宅の適正な管理運営に努めるとともに、老朽化した住宅の補修などについて、国の緊急的な各種経済対策交付金を活用しながら整備を進めて参ります。

◎河川整備

   河川事業につきましては、準用河川、水辺プラザ等の維持管理を引き続き取り組んで参ります。また、一関遊水地事業においては、小堤築堤工事を中心に、国及び関係機関と十分協議し水害から住民の生命財産を守り、快適で安全な生活ができるよう早期の完成に向け努力して参ります。

◎水道事業の整備充実

   水道事業につきましては、地域水道ビジョンを基に施設の改修と老朽化した配水管の布設替えを中心に整備して参ります。また、水需要が低迷し厳しい経営状況ではありますが、一層の経費節減と維持管理の強化など、簡易水道事業と併せて安全・安心・安定供給と経営改善に努めて参ります。

◎下水道事業の整備充実

   下水道事業につきましては、引き続き管路施設の整備を推進し、長島中央地区農業集落排水施設も含めて、維持管理の強化と水洗化率の向上に努めて参ります。さらに浄化槽設置の補助事業についても継続実施し、公共下水道と農業集落排水の3事業により公共用水域の水質保全と快適な生活環境の向上を図って参ります。

◎環境衛生の推進

   一般廃棄物の処理につきましては、ゴミの分別収集の徹底と減量化を推進し、さらに不法投棄の監視及び防止対策を一層強化するなど循環型社会の構築に努めて参ります。
   また、クリーンエネルギーとしての注目度が高い太陽光発電システムの一般家庭への設置補助と併せ、昨年5月に設立しました「ひらいずみ地球温暖化対策協議会」と協働し、地球温暖化防止の啓発と実践活動を推進して参ります。

◎消防・防災の充実

   消防・防災につきましては、近い将来発生が危惧される宮城県沖地震などへの大規模災害に対応するため、平成21年度において、全面的な見直しを行いました「平泉町地域防災計画」に基づき、常備消防や消防団、自主防災組織との連携強化をさらに進めながら、地域の防災体制の確立と町民の防災意識の高揚を図って参ります。

◎交通安全対策

   交通安全対策につきましては、高齢ドライバーの増加に伴う事故防止対策などにおいて、交通指導隊や交通安全母の会などの関係団体と連携を図り、交通安全運動の推進による「交通事故のない安全な町」の実現に向けて取り組んで参ります。


3−5 活力ある産業のまち

   第5に「活力ある産業のまち」(「産業振興」)について申し上げます。

◎農業の振興

   国では農政の大転換による農家戸別所得補償事業の平成23年度からの本格実施に先駆け、水田農業の経営安定と食糧自給率の向上を目的に「戸別所得補償モデル対策」が実施されることから、本町ではこのモデル対策を有効に機能させ目的を達成していくために、農業者の理解協力を得て関係機関と連携を図りながら、新たな水田農業施策に取り組んで参ります。
   また、本年2月にオープンした平泉町農産物加工直売施設において、安定的な管理運営や新たな農業経営の取り組みをしている農業経営組織及び農家団体への経営指導や農産物加工品の流通、販売ルートの開拓などと併せ、地場農産物供給農家の育成等についても効果的な支援策を検討し実施して参ります。
   中山間地域等直接支払制度につきましては、平成22年度から第3期目として採択要件や事業内容が改善されて実施されることから、耕作放棄地発生の防止や農用地の多面的機能の確保等に一層事業効果が図られるよう該当集落を対象に推進して参ります。
   民泊推進プロジェクト事業につきましては、平成22年度も継続実施し、本町が持つ豊富な地域資源の活用による農業と観光との有機的な連携を図りながら、農家所得の向上につながる新たな民泊システムの構築とその受け入れ組織づくりに向けて取り組んで参ります。

◎畜産の振興

   昨年2月に設立したいわて南牛振興協会は、両磐地域全体を産地として生産される優良黒毛和牛肉牛の統一銘柄として「いわて南牛」のブランド名で販売を開始しているところであります。本町におきましてもその産地として安定的に供給できる地盤の確立を目指しながら、積極的に参画し産地化の確立に努めて参ります。

◎林業の振興

   貴重な歴史的木造建造物を維持、継承するため、その修復材の供給地となる森づくりへの取り組みや森林の果たす役割を広く理解していくことを目的に、平成20年度において平泉古事の森育成協議会を設立し、平成21年度には平泉古事の森を設定したところであります。平成22年度は小学生を主体に森林教室の開催や植樹を行い、木の文化の伝承の必要性や森林への理解を深めるための取り組みを進めて参ります。

◎観光の振興

   観光の振興につきましては、今後、世界遺産登録が実現した際には、今まで以上に多くの観光客が来訪することが予想されることから、それらに対応すべく、多言語による案内表示やパンフレット、ホームページの充実などを図っていくとともに、平泉の観光地としての評価やニーズを的確に把握し、改善すべき点については速やかに対応して参ります。
   また、団体旅行から個人旅行への変化に対応し、巡回バス「るんるん」などの二次交通の充実を図り、外国人観光客でも気軽に利用し、周遊できる環境の整備を図るとともに、リピーターの創出や閑散期における観光需要を喚起するため、「平泉の新たな魅力発掘のためのプロジェクト」での成果を基に新たな魅力を掘り起こし観光資源としての活用を図って参ります。

◎商業の振興

   商業の振興につきましては、平泉商工会が地域づくりの一環として取り組んでいる平泉ブランドについて、積極的に情報を発信し販売促進につなげていくとともに、平泉生まれの特産品、土産品等についても広くアピールし、併せて購買者の信頼を高め地場産業の活性化を図って参ります。
   また、空き店舗の利活用に向けて平泉商工会との連携を図りながら、その方向性などについて検討を行い魅力ある商店街づくりを目指して参ります。

◎工業の振興

   工業振興につきましては、国の政策であります中小企業の資金調達の円滑化により、中小・小規模企業の事業継続や雇用を守れるよう資金繰り対策に努めて参ります。さらには平泉町中小企業振興資金貸付制度の活用についても町内金融機関と連携し推進して参ります。 企業誘致につきましては、昨今の景気不況の中で非常に厳しい状況ではありますが、新たな雇用の創出や地元企業の受注増、他産業の需要増をもたらすなど、地域経済に大きな影響を及ぼすことから、平泉高田前工業団地及び黄金沢企業誘致用地について、積極的な誘致活動を進めるために、県との連携を図りながら企業立地に向けて取り組んで参ります。

◎雇用対策

   景気後退に伴う雇用情勢の悪化を受け、引き続き高い失業率が続いている中、国で創設された「緊急雇用創出事業」及び「ふるさと雇用再生特別基金事業」を活用し、町内で離職を余儀なくされた非正規労働者や中高年齢者等の失業者に対して、地域における継続的な雇用機会の創出や次の雇用までの短期雇用の創出等の事業について実施して参ります。


3−6 行き交う便利なまち

   第6に「行き交う便利なまち」(「交通基盤整備」)について申し上げます。

◎道路網の整備

   道路網の整備につきましては、町道中学校線及び町道髢石線について引き続き整備を進めていくとともに、地域課題要望の多い生活道路の維持修繕についても、国の緊急的な経済対策交付金の活用を図りながら整備を進め、今後においても優先順位を検討しながら順次対応して参ります。
   県道平泉停車場中尊寺線の道路整備につきましては、「中尊寺通りまちなみ整備検討会」で歩車共存道路として位置づけたことから、今後は事業主体である県と連携を図りながら、道路整備の早期着工に向けて取り組んで参ります。
   また、平泉スマートインターチェンジ(仮称)につきましては、引き続き国や県とともに調査研究を実施しながら、整備に向けて協議を進めて参ります。

◎生活交通の充実

   生活交通対策につきましては、人口減少、さらにはモータリゼーションの進展による公共交通離れが進んでいることから、既存の公共交通機関による観光客との共存共栄を図りながら、活性化していく取り組みを展開して参ります。
   また、交通空白地帯解消に向けて、引き続き患者送迎バスの実証実験を実施し、地域からの要望を踏まえながら、生活交通対策を検討して参ります。

◎地域情報網の整備

   地域情報化の推進につきましては、通信事業者への要望活動等により、光ファイバ網のサービス利用が町内一部地区で可能となっております。今後は、同サービスの利用可能地域の拡大を目標とし、県や通信事業者と連携しながら目標実現に向けた取り組みを進めて参ります。
   また、地上放送のデジタル化への対応につきましては、平成23年7月に予定されているデジタル放送への完全移行に向け、県と連携しながら、国及び放送事業者の取り組みについて迅速な情報収集に努めて参ります。今後は、国と放送事業者が示すデジタル放送カバー地域のシミュレーションマップや「地上デジタル放送難視地区対策計画」の更新内容を注視しながら、適切な対応を実施して参ります。


3−7 共に創るまち

   第7に「共に創るまち」(「官民協働」)について申し上げます。

◎住民参画・地域活動の推進

   住民参画と地域活動の促進につきましては、引き続き各行政区における地域課題対応事業や行政区総合補助金事業などによる新たに協働実施可能な事業の掘り起こしや個性豊かな事業の実施などを進める一方、事業の検証を行いながら、公の部門への町民のさらなる参画を促し、一層の地域力の向上と行政コストの軽減を図って参ります。
   また、町民との対話による町政を進めるため、平成22年度におきましても地域懇談会を開催し、今後のまちづくりに向けて、地域の声を反映させた「協働のまちづくり」を進めて参ります。


4 終わりに

   平泉の歴史と文化は町の誇りであるとともに、日本を代表する優れた文化遺産であります。このかけがえのない貴重な財産を次の時代、千年先まで継承し、“世界遺産登録”を目指すまちとして、世界に向けて発信し、「平泉の文化遺産」を護り続けていくことが現在に生きる私たちの責務であると考えております。

   また、社会経済情勢が大きく変化した今日、地方自治体の置かれている状況は一段と厳しい中、行政運営には時代の変化や社会情勢に即応した新しい行政体としての変革が常に求められていると認識しております。
   そのためには行政のトップとして、常に生活者の立場に立った住民視点による町政運営を行っていくことは当然のことであります。町民一人ひとりが暮らしやすく、地域に根ざした活動ができるよう支援していきながら、地域を基礎とした町全体の活性化を図り推進していくことが、現在のまちづくりにおいて、より必要なことと考えております。

   世界遺産にふさわしい環境、空間、文化を兼ね備え、“住む人にも町を訪れる人にも良さが感じられるまちづくり”を目指し、町民の皆様と議員各位の英知を結集し、いつでも夢を持ち、理想を描き、「小さくともキラリと光るまちづくり」に向けて、引き続き町政を推進して参りたいと考えております。

   今回、提案いたしました平成22年度平泉町一般会計・特別会計予算並びにその他の議案につきまして議員各位のご理解とご協力、そして町民の皆様方の町政への参画を心からお願い申し上げ、私の施政方針の表明といたします。



   平成22年3月9日
      平泉町長 高橋 一男
平泉町役場
〒029-4192 岩手県西磐井郡平泉町平泉字志羅山45-2
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