2 選挙運動

    選挙運動は本来、自由に行われるのが理想ですが、
   金を使い過ぎたり、人の弱みにつけ込んだ運動をする者が
   出たりすると、選挙の公正さが害され、明るい選挙が行わ
   れなくなくります。本当に国民の代表として、政治を信託
   するにふさわしい人が選ばれるようにするため、一定のルール
   が必要となります
 

(1)選挙運動期間

   公示又は告示が出て、選挙長が立候補届を受理したときが
   選挙運動の始まりで、それより前の運動は事前運動として
   禁止されてします。また、選挙運動の終わりは投票日前日
   の午後12時です。
    なお、選挙が終わって、当選や落選の挨拶をするために、
   戸別訪問したり、新聞等に(当選御礼)等の広告をしたり、
   当選祝賀会等を開催することも禁止されています。
 

(2)誰にでもできる選挙運動

   誰にでもできる選挙運動としては、次のようなものがあります。
   (1) 個々面接
     戸別訪問は禁止されていますが、街頭で行きあった人、バスの中で
     たまたま出合った人などにその機会を利用して投票を依頼することは
     できます。
   (2) 電話で一人の相手に投票を依頼することは差支えありません。
   (3)(選挙運動用はがき)を候補者からもらって、友人や知人に
    出して投票を依頼することができます。(必ず郵便局の窓口
    に差し出すこと。)ただし、(選挙用)の表示のないものは
    使えませんし、また、直接渡しては違反になります。また、
    複数の人に回覧されるような(XX御中)、(御一同様)
    としてはいけません。
   (4)運動用ポスター等に推薦人として名を連ねることはできます。
   (5)選挙と関係ない町内会、校友会、社員会などに出て、自分の
    支持する候補者のために協力を依頼することはできます。
   (6)個人演説会で演説したり、街頭演説などで応援弁士をするこ
    とはできます。
   (7) 選挙運動員となること
    ただし、この場合は無償で労務を提供することを前提として
    います。
 

(3) 選挙運動が禁止又は制限されている人

   選挙は公正な執行を確保するとともに、選挙の公正化を図る
   ことなどの理由によって、次に掲げる人は選挙運動をするこ
   とについて制限されています。
   (1) 選挙事務関係者の選挙運動の禁止
    選挙長、投・開票管理者など立候補制限を受ける選挙事務関 
    係者は、在職中その関係区域内での選挙運動が禁止されます。
   (2) 特定公務員の選挙運動の禁止
    在職中は一切の選挙運動が禁止されます。
      ア 選挙管理委員会の委員及び職員
      イ 裁判官
      ウ 検察官
      エ 会計検査官
      オ 公安委員会の委員
      カ 警察官
      キ 収税官吏及び徴税の吏員
   (3) 公務員の地位利用による選挙運動の禁止
    公務員(常勤・非常勤を問わず)がその地位を利用
    (影響力などを利用)して選挙運動することは、選挙の自由
    と公正を害するものであり禁止されています。
     なお、公務員の選挙運動については、多くは政治的行為の
    面から国家公務員法、地方公務員法等により規制されています。
   (4) 教育者の地位利用による選挙運動の禁止
    教育者が学校の児童生徒及び学生に対する教育上の地位を利用
    して選挙運動することは、選挙運動の公正を害するおそれがあ
    るので禁止されています。
     なお、教育者の選挙運動については、多くは政治的行為の面
    から、国立学校の場合は国家公務員法により、公立学校の場合
    は教育公務員特例法により規制されています。
   (5) 未成年者の選挙運動の禁止
   (6) 選挙犯罪により公民権停止中の者の選挙運動の禁止
 

(4) 禁止される選挙運動

   (1) 戸別訪問
    何人も選挙運動のために、一戸一戸を訪ね廻ることは、
    (戸別訪問)として禁止されています。戸別訪問は家庭に限ら
    ず、会社、工場等も含まれ、又家庭の中に入らず、軒下、庭等
    で面接する場合でも戸別訪問として禁止されています。
      違反の実例
        O選挙用ポスターを貼る承諾を求めることを口実にして、
         運動員が戸別訪問したもの。
        O運動員が署名運動しながら、戸別訪問したもの。
        O訪問先の家の中には入らないが、いちいち門前に呼び出して
         投票を依頼したもの。
   (2) 飲食物の提供の禁止と買収、供応及び選挙妨害
     選挙運動に関して飲食物を提供することは、候補者、運動員、
    選挙人に限らず、すべての人について、しかもそれがいかなる
    名義のものであっても原則として禁止されています。(ただし、
    お茶及びこれに伴い通常用いられるお菓子程度のものであれば
    差し支えありません。)
    また、選挙運動のために買収をしたり、御馳走をしたり、され
    たりすることや、候補者についてデマをとばしたり、
    候補者、選挙人、選挙運動員をおどしたり、演説、集会、交通
    等を妨害したり、選挙用ポスターを破ったりするなど、選挙の
    自由を妨げると処罰されます。
      違反の実例
        O陣中見舞として、酒、果物等を立候補者に贈ったもの。
        O通行人を選挙事務所に呼び入れて、酒、肴をふるまったもの。
        Oタバコ等を知人に配り、開けてみたらお金が入っていたもの。
   (3)署名運動の禁止
    何人も選挙に関し、投票を得る目的、得させる目的、また得さ 
    せない目的をもって選挙人に対し署名を求めることき一切でき
    ません。それは、戸別訪問の禁止や連呼行為の禁止の脱法行為
    として行われるおそれがあるからです。
   (4)人気投票の公表の禁止
    選挙に関する事項を動機として、公職に就くべき者を予想する
    人気投票の経過又は結果を公表することは禁止されいます。
   (5)気勢を張る行為
    選挙人の耳目を集めるために、自動車を連ねたり、隊列を組ん
    で、往来したりすることなどは、不当に大衆を威圧することに
    なり、選挙人の冷静な判断を失わせるおそれがあるので禁止さ
    れています。